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そしてペンギンだけが残った〜日経サイエンス2014年8月号より

数千万年前に誕生した泳ぐ鳥類は,海生哺乳類との競争に敗れ姿を消した

 

ペンギンモドキ類のホッカイドウオオウミウ

新村龍也&足寄動物化石博物館

翼を海で泳ぐことに使う奇妙な鳥がいる。そう,おなじみのペンギンだ。もともとは空を飛んでいた鳥が翼を水中での移動に適したヒレ状のフリッパーに進化さ せ,魚やオキアミなどの餌の豊富な海での生活に適応したのがその始まりだ。このような適応を遂げた鳥類は今はペンギンだけで,その生息範囲も南半球に限ら れている。

 

だが,数千万年前からこれまでに,世界中の海洋で,飛ぶことをやめ,泳ぐことに特化した鳥類がペンギンのほかに も3系統誕生していた。しかしそれらは姿を消し,ペンギンだけが生き残った。いったい何が起きたのか。長年の謎だったが,最近の研究で,同じように陸から 海へと進出した海生哺乳類との生存競争に破れた可能性が浮かんできた。足寄動物化石博物館の安藤達郎学芸員がニュージーランドのオタゴ大学と共同でPalaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology誌に4月15日発表した。

 

飛ぶことをやめ,水中を移動するために翼を進化させた鳥類は少なくとも4系統誕生し,かつては世界中のほぼすべての海洋を泳ぎ回っていた。まず,ペンギン類(Sphenisciformes)。恐竜が滅びて間もない6200万年前ごろ,現在のニュージーランド周辺で誕生し,南半球に広がった(R. E. フォーダイス/D. T. セプカ「ペンギンの数奇な歩み」日経サイエンス2013年3月号)。

 

2つ目のペンギンモドキ類(Plotopteridae)は,外見こそペンギンに似ているものの現在のウミウに近い鳥で,3700万年前から1600万年前の北太平洋に生息していた。日本でも化石が見つかっている。3つ目のルーカスウミガラス類(Mancallinae)は1400万年前から100万年前の北太平洋に,4つ目のオオウミガラス類(Pinguinus)は500万年前から1840年ごろまで北大西洋にそれぞれ生息していた。ルーカスウミガラスとオオウミガラスは今のウミガラスに近い鳥だ。

 

これらは空を飛べず,翼で水中を移動することで海洋での生活に適応した点で共通するが,そのルーツは異なる。骨格などの解析から,別々の鳥から進化したこと がわかっている。これを「収斂進化」という。このように独立に海に進出した鳥類が4グループもいたのに,なぜペンギン以外は絶滅したのか。海に現れた大型 の海生哺乳類との生存競争が原因との見方があったが,厳密に検証されたことはなかった。(続く)

 

続きは現在発売中の8月号誌面でどうぞ。

 

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