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ハチのプラごみ再利用〜日経サイエンス2014年8月号より

都市部のハチは巣作りに活用している

 

 ニワシドリは廃プラスチックを好む。ニワシドリのオスは色とりどりのプラスチックの破片を使って巣の外に手の込んだ求愛場所を作り,メスの気をひく。最近の研究で,別の生物もプラごみを利用していることがわかった。都市部で2種のハチがプラスチック片で巣を作るようになっている。

 

 ヨーク大学の生態学者マッキーバー(J. Scott MacIvor)が調べているこのハチは社会性ではなく,ミツバチなどとは違って集団生活用の大きな巣は作らない。植物の茎や木の穴,柵の支柱などに小さな巣を作る。その巣作り行動を詳しく調べるため,マッキーバーは2012年春にカナダ・トロントの市民科学者に協力を呼びかけ,街中に人工巣箱を設置してもらった。

 

 同年秋に巣箱を調べたところ,予想外の発見があった。世界で最も一般的に養蜂されているハチの一種であるアルファルファハキリバチ(Megachile rotundata)が,通常の植物の葉に加えてレジ袋の破片を巣に組み込んでいた。また,メガキレ・カンパヌラエ(Megachile campanulae)というハチは,通常なら巣の小区画を樹脂で塞ぐところを,コーキング材などプラスチックの充填剤を使っていた。

 

 Ecosphere誌に掲載されたこの発見は,巣をプラスチックで作る昆虫を世界で初めて報告した科学文献となる。ストローなどプラスチック製品の中にハチがすみつく例はよくあるが,「今回は自分で積極的にプラスチックを集めている点で新しい」と,ニューヨークにあるアメリカ自然史博物館の研究者アシャー(John Ascher)はいう。

 

 今回の研究は,生物が人間の生活環境にいかにうまく適応するかを示す例をまた1つ増やすことにもなった。「適応的な形質や行動の柔軟性を備えた生物は常にいるもので,人間が乱した環境のなかでしっかり生き延びていく」とマッキーバーはいう。そう願いたいものだ。■

 

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