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ナマケモノから新薬候補〜日経サイエンス2014年6月号より

生理活性真菌がいろいろ見つかった

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 病気の治療法は思いがけないところで見つかることがしばしばだ。微生物学者のヒギンボタム(Sarah Higginbotham)は数年前,生理活性生物を探すにはどうすればよいだろうかと同僚の生態学者の意見を聞いた。他の生物の成長を阻害する生理活性物質を作り出す生物だ。「多くの生物が一緒にすんでいる場所を探していると話したら,『それならナマケモノがもってこいだろう』という答えが返ってきた」とヒギンボタムはいう。

 

 ナマケモノは微生物の宝庫だ。めったに動かず,その動きも超ゆっくりしているうえ,毛皮に微細な溝があって,そこが藻類や真菌,細菌,ゴキブリ,毛虫などの格好のすみかとなっているためだ。

 

 興味を抱いたヒギンボタムはスミソニアン熱帯研究所(パナマ)に短期研究滞在していた際,9匹のミユビナマケモノの毛のサンプルを取得した。ミユビナマケモノは中南米の樹上で暮らす哺乳動物で,めったに動かないことで有名だ。ヒギンボタムはその試料から28の異なる真菌を特定した。うちいくつかは新種の可能性がある(本当に新種かどうかを決めるには化学分析が役立つだろう)。

 

 現在クィーンズ大学ベルファスト(北アイルランド)に所属するヒギンボタムらは,これらの真菌の一部に,マラリアやシャーガス病を引き起こす寄生虫や乳がん細胞株,数種の有害な細菌に対する生理活性があることを確認し,PLOS ONE誌に論文を発表した。結局,ナマケモノの毛皮に隠れていた新薬の手がかりは24に達した。■

 

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