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冷たいガス流をのみ込む銀河~日経サイエンス2014年3月号より

銀河の急成長を支えた要因が初期宇宙の観測から明るみに

 

 初期宇宙の若い銀河は現在のような巨大銀河にどうやって成長したのだろう? 10年以上前に提案されたある説は,初期宇宙の銀河は冷たいガスを吸い込んで,莫大な星形成の燃料にしたと考える。イスラエルにあるヘブライ大学の理論天体物理学者デケル(Avishai Dekel)は,銀河間ガスの細い流れが補給ラインとなり,幼い銀河の周りに広がる高温ガスのハローを突き抜け,銀河に栄養補給して成長させた可能性を示した。ただし低温ガスのかすかな流れを実際に検出するのは難しかった。

 

 最近,この銀河間ガスの流れが偶然の宇宙の配列によって明るみに出た。独マックス・プランク天文学研究所(ハイデルベルク)のクライトン(Meil Crighton)らは,遠方にある明るいクエーサーを調べた。このクエーサーの光は地球に届くまでに,宇宙が誕生からまだ30億年ほどだったころの銀河を通り抜けてくる。その際に,銀河の化学組成に応じて特定の波長の光が吸収され,銀河に供給されているガスに関する痕跡がクエーサーの光に刻み込まれる。

 

 若い銀河の周りのガスは「期待していた低温降着流の特徴をすべて備えている」とクライトンはいう。低温であること,高密度であること,そしてビッグバンで生成された水素とヘリウムが主体で他の元素は少ないことだ。Astrophysical Journal Letters?誌に報告した。

 

 しかし,デケルは例を1つ見つけただけで勝利宣言するわけにはいかないと考える。「確証するにはもっと多数の観測例が必要だろう」。■

 

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