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マダガスカルのバオバブは絶滅寸前~日経サイエンス2013年12月号より

気候変動と開発で生育地縮小

 

 アフリカの人々のなかでも,トーゴに住むエウェ族には「知恵はバオバブの木のようだ。1人では抱きかかえることができない」ということわざがある。このバオバブ属(Adansonia)の木は大きなものになると,寿命が実に1000年を超え,幹の直径は9mにもなる。

 

 世界で8種あるバオバブのうち6種はマダガスカルだけに見られる。だがBiological Conservation誌に掲載された最近の研究によると,気候変動と人間による開発によって,マダガスカルの2種類のバオバブの生育地がじきに失われる見通しだ。片方は絶滅するかもしれない。

 

 この2種のバオバブのうちアダンソニア・ペリエリ(Adansonia perrieri)はすでに希少だ。同論文の著者たちは高解像度の衛星写真でたった99本しか確認できなかった。ペリエリは特定の条件に適応しているため,気候の変化によって2080年までに生育地が70%近く減る可能性がある。

 

 もう一方のアダンソニア・スアレゼンシス(Adansonia suarezensis)は個体数としては数千本を数えるが,その生育域は狭い。極めて特別な降雨地域に生えているので,気候変動によって2050年までに生育地がたったの17km2まで縮小する可能性がある。さらに悪いことに,スアレゼンシスは2080年までに絶滅する恐れがある。これら2種は国際自然保護連合(IUCN)によって「絶滅危惧種」に指定されているが,もはやどちらももう1段階深刻な「絶滅寸前」の状態にあるといっていいだろう。■

 

この記事はSCIENTIFIC AMERICANのブログ「エクスティンクション・カウントダウン」(blogs.ScientificAmerican.com/extinction-countdown)より。

 

 

再録:別冊日経サイエンス197「激変する気候」