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ニューギニアの歌う犬を探して~日経サイエンス2013年11月号より

昨年の写真撮影を刺激に探索が始動

 

 ニューギニア・シンギンング・ドッグはおそらく世界で最も希少なイヌ属動物であり,他の野生化した犬やジャッカル,コヨーテ,オオカミよりも絶滅の危機に近い。生息地であるニューギニアの険しい山岳地帯から,その独特の声(オオカミの遠吠えとクジラの歌声を掛け合わせたような感じだ)がたまにこだまして聞こえてくることがあるが,用心深く動きが敏捷なのでなかなか目撃されない。

 

 野生の状態を写真撮影できたのはたったの2回で,オーストラリアの哺乳類学者フラネリー(Tim Flannery)が1989年に撮影したものと,野生生物ツアーガイドのヒューイット(Tom Hewitt)が2012年8月に撮影した例があるのみだ。

 

 

ヒューイットがこの写真を撮影した場所は西パプア(インドネシア)の人里離れたスター・マウンテンズで,ここの雲霧林には野生の小さな群れがいくつか生息しているようだ。ヒューイットの写真に触発され,ある研究チームが来年,同地域のマンダラ山の麓で野生の群れを探す予定だ。残された糞や体毛などからDNAサンプルを収集し,ヒューイットの目撃事例を確認する計画。最終的には,野生のニューギニア・シンギング・ドッグを1匹捕獲したいと考えている。

 

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捕獲群に野生の血を注入

 この計画の目的は獲物探しではないと,探索隊のリーダーでサウスウェスト・パシフィック研究財団(フロリダ州フェルナンディーナビーチ)の責任者を務めるマッキンタイア(James “Mac” McIntyre)はいう。「2012年に撮影されたイヌの表現型,つまり外見はニューギニア・シンギング・ドッグだったが,科学的にはもっと決定的な証拠が必要だ」と指摘する。その証拠を得るには,イヌの遺伝子型,つまり遺伝子の構成を,世界で約200匹しかいない捕獲ずみの純血種のものと照合するしかない。

 

 野生個体の捕獲はニューギニア・シンギンング・ドッグの存続に不可欠といえるだろう。捕獲群は何世代にもわたる近親交配によって弱っているが,ここに野生個体の血統を注入できるからだ。■

 

この記事はSCIENTIFIC AMERICANのブログ「ランニングポニーズ」(blogs.ScientificAmerican.com/running-ponies)より。

 

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