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水圧破砕と汚染飲料水~日経サイエンス2013年11月号より

シェールガス井から1マイル内にある家庭用井戸はメタン濃度が高いことが確認された

 

 地下の頁岩層を水圧破砕(フラッキング)して取り出す天然ガス(シェールガス)。ペンシルベニア州では,この水圧破砕用の井戸に近いところほど,井戸水がメタンに汚染されている可能性が高い。6月の米国科学アカデミー紀要に発表されたこの結論は,ペンシルベニア州の大半の地域の地下に存在するマーセラス頁岩層における水圧破砕が同地域の飲料水の汚染源であるかどうかを見極めるうえでの第一歩になる。

 

 デューク大学の化学工学者ジャクソン(Robert Jackson)は,住宅に設けられた飲料水用の浅い井戸141カ所を調べ,うち115カ所からメタンを検出した。水圧破砕井戸から1マイル(1.6km)以内にある住宅井戸のメタン濃度は,それより遠くにあるものに比べ6倍高かった。メタンに含まれる同位体と微量のエタンから,このメタンは地下水中の微生物が作り出したものではなく,地下数百mのマーセラス頁岩層の熱と圧力によるものだとわかった。この頁岩層では,複数の企業が岩盤を水圧破砕し,放出された天然ガス(メタン)を立て抗を通じて回収している。

 

 ほとんどの地下水は深さわずか数十m以内にあるが,水圧破砕井戸の周囲を保護している金属枠やコンクリートに漏れがあると,そこからメタンが地下水に入り込む可能性がある。ただ今回の研究は,水圧破砕が特定の飲料水用井戸を汚染したと証明したわけではない。「水圧破砕の中止を求める予定はない」とジャクソンはいう。掘削会社は多くの場合,適切に井戸を作っていると彼は指摘する。だが,掘削会社は一部の井戸に漏れがあるかもしれないという可能性まで否定することで,自らの信頼性を損ねてきた。

 

汚染源の特定が必要

 水圧破砕が特定の飲料水用井戸を汚染しているかどうかを見極めるための次のステップは,井戸で検出されたメタンがマーセラス頁岩層に由来するのか,他の堆積層のものなのかを解明することだろう。ガスは深い層から岩の亀裂を通じて自然に上がってくることがあるので,発生源を突き止めるのは難しいとエネルギー会社は主張している。これに対し一部の科学者は,ガスを化学分析することで,岩の間を数百mゆっくり立ち上ってきたのか,漏れのある井戸から素早く流出したのかを判定できると主張している。ジャクソンは現在,この方法でメタン試料を分析している。(続く)

 

続きは現在発売中の11月号誌面でどうぞ。

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