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宇宙のオタマジャクシ〜日経サイエンス2013年7月号より

天の川の若き日の姿を示す奇妙な銀河たち

 

 アンドロメダ銀河や天の川などの巨大な渦巻銀河は,その輝きと重量で他のほとんどの銀河を大きく凌駕している。より小さな銀河を吸収し,また周囲の空間からガスを取り込んで,大きく成長してきた。最近,風変わりな“オタマジャクシ型銀河”がいくつか観測され,天の川銀河がその最も明るい部分,つまり太陽や地球が存在する星の多い円盤部分をどのように形成したのかについて新たな手がかりをもたらした。

 

 オタマジャクシ型銀河は明るく若い星を擁する“頭”の部分から,ほのかな長い尾が伸びているのが特徴で,1990年代に初めて見つかった。ほとんどのオタマジャクシ型銀河は地球から数十億光年の彼方にあり,つまり宇宙が若かったころには一般的だったことを示している。だがそのように遠く離れているため,研究するのは難しい。

 

 そこで,カナリア天体物理研究所のサンチェス=アルメイダ(Jorge Sánchez Almeida)らは,地球から6億光年以内と珍しく比較的近いところにある7つのオタマジャクシ型銀河を詳しく調べた。ラ・パルマ島の望遠鏡で観測した光を解析し,それぞれの銀河の異なる部分の速度を割り出した。この結果,多くは渦巻銀河の円盤と同様に回転していることがわかった。

 

奇妙な酸素分布が語る形成史

 だが,衝撃的な事実も明らかになった。天の川銀河の場合,酸素が最も豊富に存在するのは明るくて星の多い中心部で,そこでは大質量星が酸素を作り出して超新星爆発によってそれを放出している。一方のオタマジャクシ型銀河はパターンが逆で,明るい頭のほうが暗い尾よりも酸素が少なかった。「これは非常に奇妙だ」とサンチェス=アルメイダはいう。

 

 Astrophysical Journal誌4月10日号に発表されたこの驚くべき発見を説明するため,サンチェス=アルメイダらは銀河間空間に残っている原初のガスを引っ張り出した。宇宙誕生のビッグバンの劫火では酸素よりはるかに軽い元素だけが生まれ,以来この銀河間ガスはほとんど変化していないと考えられる。このシナリオでは,酸素の乏しいガスの流れが生まれたての銀河円盤の一部に流れ込んで,新たに明るい星の形成を引き起こした。このため,オタマジャクシの頭は明るいが,酸素は乏しいわけだ。(続く)

 

 

続きは現在発売中の7月号誌面でどうぞ。

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