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「先生,私ダイエットあきらめます(^_^)」〜日経サイエンス2013年6月号より

携帯電話利用の健康管理に改善の余地

 

 携帯メールや動画,スマホアプリなどを使った健康管理が関心と資金を引き寄せている。しかし,「モバイルヘルス」と呼ばれるこの分野はまだ日が浅く,玉石混交の結果が出ていることが最近の2件の解析研究で明らかになった。

 

 1月にPLOS Medicine誌に掲載された報告によると,患者が疾病管理や健康的な習慣を身につけるためにモバイル技術を用いた75件の対照試験のうち,有益な結果が確かにうかがえたのは3件だけだった。また,同じ著者による別のレビュー記事は,診察日を忘れないよう患者に携帯メールで念を押すなどの健康管理サービスを調べたが,これについては42件の試験のうち有益な結果が出たのは11件だった。

 

 オーストラリアにあるメルボルン大学の医師でJournal of Mobile Technology in Medicine誌の共同編集長を務めるチャクラバルティ(Rahul Chakrabarti)は,これらのレビュー記事はモバイルヘルスに関するこれまでで最も包括的なメタ解析だという。

 

有効だった例も

 解析研究を率いたロンドン大学衛生学・熱帯医学大学院の疫学者フリー(Caroline Free)は,現在のモバイルヘルスの限界に失望してはいけないという。有効だった取り組みから学べることはある。例えばある試験では,携帯メールによる禁煙指導を受けた喫煙者は禁煙率が高まった(自己申告ではなく生化学的検査で確認)。また,発展途上国で有益な結果が出た例は1件だけだったものの,ケニアで行われたその試験では,抗レトロウイルス薬の服用を忘れないよう携帯メールで知らせたことが患者のHIVウイルス数低下につながった。

 

 ただし,試験のほとんどは設計が甘く,患者を対照群と実験群に無作為に振り分けていない例が多い。また,結果を患者に自己申告させている例があり,それらは信頼性に難があるだろう。さらに,ほとんどの試験が途上国を対象にしていない。病院を受診するのがなかなか難しい途上国にあっては,医療サービスへのアクセスを改善するうえで携帯電話の利用が最も大きな可能性を持っているのだが。

 

 チャクラバルティ(自身はメタ解析に関わっていない)は,これらの研究は現在のモバイルヘルスについて「明らかに方法論を改善する必要がある」ことを示しているという。■

 

 

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