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微量栄養素を丸見えに〜日経サイエンス2013年5月号より

野菜や果物が含むビタミンなどの栄養素を店頭でチェックできる携帯装置ができるかも

 

 有機作物は従来法で栽培された作物よりも栄養があるのか? スタンフォード大学の科学者たちが疑問を投じた昨年の研究報告はメディアで大きく報道された。だが,あまり意識されていない現実として,そのリンゴやホウレンソウが有機栽培かどうかによらず,含まれる栄養素の水準は土壌のタイプや質,気温,日照時間といった生育条件によって劇的に変わりうるという事実がある。消費者がスーパーの店頭で,できのよいパックを選んだことを確かめる独自の方法はない。

 

 だが,栄養素の濃度を検査できる携帯端末があったらどうだろう。そうした装置の研究資金を集めているバイオ栄養食品協会の専務理事キトリッジ(Dan Kittredge)は「ニンジンを個別に比べることもできるだろう」という。「ダメなパックはパス。次のパックがよいとわかれば,それを買えばよろしい」。

 

手軽になった赤外分光法

 基本となる技術は数十年前からある。キトリッジが注目しているのは製薬や医療,農業,天文学などに使われている近赤外分光法で,異なる分子は振動の仕方がわずかに異なるという原理に基づいている。試料に赤外線を当てて透過または反射させると,化学結合の振動により,特定の波長が他よりも多く吸収される。吸収された近赤外線の量を波長別に測定すると,その試料に固有のパターンが得られる。結果は正確で速い。「ガスクロマトグラフィーだと優に半日はかかるが,近赤外分光法なら数秒で結果が出る」と,米食品医薬品局(FDA)食品安全応用栄養センターの化学者モソバ(Magdi Mossoba)はいう。(続く)

 

続きは現在発売中の5月号誌面でどうぞ。

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