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不安なほどには近すぎず〜日経サイエンス2013年5月号より

近くにやってくる小惑星は多いが衝突の可能性はまずない

 

 かつて地球との衝突の可能性が報道されて話題になった「アポフィス」という直径300mの小惑星が通常の内太陽系めぐりの途中で地球に接近し,1月9日,月の軌道よりもずっと遠いところを,大半の人たちが知らない間に通過していった。もっとも,2004年に発見されて以来,アポフィスがこれほど地球に近づいたのは初めてだ。

 

 発見後の観測によって衝突の心配は収まっているが,2029年には今回よりもずっと近く,地球から約3万5000km以内を通過する見込み。2036年に戻ってくるときには,限りなく小さいながらも,衝突の可能性が残っている。

 

 これは潜在的な危険をはらむ地球近傍小惑星ではよくある話だ。軌道について不確かさが残っているため,精度の高い観測によって曖昧さが減るまで,地球に衝突する可能性は完全には消えない。

 

2011 AG5に安全宣言

 小惑星「2011 AG5」がまさにそうだった。2年前に発見された直径140mのこの小惑星は2040年に地球に衝突する可能性がわずかにあるとされ,小惑星の危険性を0から10までの数値で評価するトリノスケールのスコアが0より大きい,わずか2つの小惑星の1つとなった(アポフィスのスコアは0)。2011 AG5のトリノスケールは1とされ,衝突は「極めて可能性が低く,公共の注意や懸念に値しない」が,それでも「2007 VK184」とともに最もリスクが高いと考えられた(2007 VK184もトリノスケールは1で,2048年に地球に衝突する確率が1/1820とされている)。

 

 しかし,昨年12月に発表された新しいデータのおかげで,2011 AG5の脅威は薄れた。10月の1カ月間,ハワイ大学の天文学者トーレン(David Tholen)らは2011 AG5の観測を何回か行って軌道を十分な精度で突き止め,今後の予想進路をかなり絞り込んだ。最新のデータによれば,2011 AG5は約90万kmという十分な距離を置いて地球を通過する見込みだ。「要するに2040年の衝突はないということだ」とトーレンはいう。■

 

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