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健康的アイスが可能に?〜日経サイエンス2013年3月号より

コレステロールを気にしなくてよいアイスクリームを

不飽和脂肪を使って作るおいしい方法

 

Cereal Milk Ice Cream

アイスクリームは氷(固体)と空気(気体),水(液体)が共存する複雑な三相系の食べ物だ。アイスクリームをおいしく感じるのは,その比較的高い脂肪分が主な原因で,高級品では10~18%に上る。脂肪は味への影響に加え,アイスクリームの滑らかな口当たりに欠かせない。だから,ほとんどの低脂肪アイスがそうした食感に欠けるのも無理はない。

 

だが飽和脂肪は健康にあまりよろしくないということで,食物科学者たちは最近,そうした心配の少ない不飽和脂肪でおいしいアイスクリームを実現する方法を発見した。固体の脂肪は部分融合(部分コアレッセンス)という過程を経てアイスクリーム中に構造を作る。2つの脂肪の粒がぶつかって“末端部分”だけが融合し,もとの粒はほぼ原形をとどめるものだ。丸い粒の表面からサボテンのとげのように細い結晶が突き出していて,隣の粒にぶつかると,これが突き刺さって融合する。これらの粒が凝集し,空気の泡の表面に沈着して,冷たい泡が安定化する。このように,部分融合によってアイスクリームの滑らかな食感が生まれるほか,形が保たれ,すぐには融けないようになっているのだ。

Cereal Milk Ice Cream / joyosity

 

不飽和脂肪プラス乳化剤

不飽和脂肪は液体なので,アイスクリームの改良には使えないだろうと思われていた。しかし,最近の研究の結果から,それに見直しが迫られた。カナダのオンタリオ州にあるゲルフ大学のゴフ(Douglas Goff)が率いた研究によって,不飽和脂肪を40~60%含む小さな板状または針状の小片(丸い粒ではないもの)が,アイスクリーム中に非常にうまく構造を作り出すことが示唆された。こうした脂肪を作るには,キャノーラ油など不飽和度の高い油とココナツ油やココアバターなどの飽和脂肪をブレンドすればよい。

 

モノオレイン酸グリセロールなど普通に使われている不飽和乳化剤を加えたときだけ,板状の脂肪片ができた。乳化剤によって脂肪の結晶が一方向にだけ成長するようになり,針のような形になるのだと考えられる。この形のおかげで,部分融合を経て安定した冷たい泡ができるのに必要な脂肪が少なくてすむ。より低脂肪で,しかもクリーミーで融けにくいアイスが作れるかもしれない。

 

 

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