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火星を流れていた川〜日経サイエンス2013年2月号より

探査車キュリオシティーが証拠をつかんだ

 

 異星の世界を上空の軌道から見るのと,その星に降り立って間近に見るのとでは,まるで違う。

 

 以前にマーズ・リコネッサンス・オービターが撮影した火星のゲール・クレーターの写真には,扇状地に似た跡が写っていた。過去にこのクレーターに液体の水が流れ込んでいた可能性を示すものだ。そしていま,米航空宇宙局(NASA)の探査車キュリオシティーがゲール・クレーターで活動を始めている。

 

 去る9月,キュリオシティーは空中探査の結果を検証する情報を地上調査によってつかんだ。砂利のような小石(砕屑岩)が集まって礫岩の層を形成している露頭などだ。これは古代の川底が隆起して傾いたものだ。これらの小石はおそらく数百m高いクレーターの縁にあった。大きさや丸みを帯びた形,配置から,足首から腰あたりの深さの水によって洗い流され,転がってきたのだと考えられる。

 

 これは注目すべき発見だ。こうした構造を形成・堆積する原因としてまず考えられるのは水の存在であり,おそらくは一時的にせよ火星の地表を水が流れ,泥のような結着物のなかに小石が固定されたこの地層を残したのだと思われる。現在のゲール・クレーターは地球上の最も乾燥した砂漠よりもさらに乾いた状態かもしれないが,大昔,少なくとも一時期は,火星で水が音を立てて流れ,太陽の光を浴びてきらめいていた。

 

この記事はSCIENTIFIC AMERICANのブログ「ライフ・アンバウンデッド」(blogs.ScientificAmerican.com/life-unbounded)より。

 

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