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腸内細菌との早食い競争〜日経サイエンス2013年2月号より

ある種の細菌は高カロリー食だと増える

 

 人間の腸は完全に自分だけのものではない。腸のなかでは,人間の細胞が何兆個もの細菌と闘っている。食物の消化をめぐる闘いだ。食物からエネルギーを取り出すのを手伝ってくれる有益な細菌もいるが,人間の健康を犠牲にして腸を乗っ取るチャンスをうかがっているものもいる。

 

 最近の研究によって,進みつつある腸内細菌の理解に新たな解釈が加わった。ノースカロライナ大学チャペルヒル校のセモヴァ(Ivana Semova)とロールズ(John Rawls)らは,透明な小型魚ゼブラフィッシュ(Danio rerio)の腸における脂肪酸の吸収を調べた。この結果,エサをたくさん食べるほどゼブラフィッシュの腸内でファーミキューテス(フィルミクテス門)というグループに属する細菌群が増え,腸の細胞が脂肪を吸収する効率がよくなることがわかった。

 

 この発見は,高カロリー食だとファーミキューテス菌が増え,低脂肪食では減ったという人間とマウスで行われた研究の結果とよく似ている。ただしファーミキューテス菌が悪玉菌なのか善玉菌なのかはまだわからない。栄養豊富な食べ物が来たら自分勝手に増殖し,人間の細胞が必死に働いて食物の栄養を抽出するように強いているのだろうか? それとも消化を助けて多すぎるほどのカロリーを解放し,人間に必要以上のカロリーを吸収させているのだろうか?

 

 ロールズはゼブラフィッシュがこの細菌の存在を認識していて,細菌と張り合うために自身の脂肪酸吸収量を増やしているのだろうと考えている。「味方してくれる細菌ばかりとは限らない」。

 

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