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塗って作る電池〜日経サイエンス2012年11月号より

あらゆる物体が電力貯蔵装置に

 

 正極塗料がなくなったから買いに行かなくちゃ──そんな日が来るかもしれない。ライス大学とベルギーにあるルーヴァン・カトリック大学のチームは6月,“塗って作る充電池”の設計を発表した。オンライン学術誌Scientific Reportsに掲載されたこの技術は,電池の製造方法を一変し,どんな表面にでもエネルギーの貯蔵を可能にするかもしれない。

 

 この電池は5つの層からなる。外部電流を受け入れる電極,正イオンを引き寄せる負極,イオン伝導性のセパレーター,負イオンを引き寄せる正極,外部に電流を流し出す電極──の5つだ。塗料のように表面に吹き付けて1つずつ層を重ねていけるようにするため,導電性材料と様々なポリマーを適切に混合する方法を見つけるのが難しかった。

 

 研究チームはこの電池塗料を浴室のタイルやガラス,柔軟な透明フィルム,ステンレス鋼,ビールジョッキの側面に塗布して試した。これらの電池に小さな回路をつないで電気を取り出した。ある実験では,塗装充電池に太陽電池を接続し,太陽光エネルギーでLEDディスプレーを点灯させた。

 

 この塗装充電池が近くの店の商品棚に並ぶのはまだ先になる。電解質セパレーターが酸素に対して不安定だからだ。空気に触れると爆発する可能性があるため,塗装電池を製造するにはいまのところ特殊な条件が必要になる。

 

 ライス大学チームのシン(Neelam Singh)は,すべての材料について空気と湿気に対する反応性を抑え,環境への悪影響を減らすよう改善を進めているという。また,他のグループが“塗って作る太陽電池”の開発に取り組んでいるともいう。これらを組み合わせれば,“塗って作る充電池の上に塗って作る太陽電池”ができるだろうという。住宅は太陽エネルギーをとらえて蓄える装置になるかもしれない。

 

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