News Scan

「はいはい」する恐竜〜日経サイエンス2005年12月号より

 人間の赤ちゃんは歩き始める前にまず「はいはい」するが,恐竜にも同様の種がいたようだ。根拠となったのは卵からかえる前の恐竜の化石。1億9000万年前のもので,保存状態は驚くほどよかった。化石そのものは1978年に南アフリカで発見されていたのだが,近年になって適切な設備のある研究所に送られ,ようやく詳しく調べられた。
 周囲についていた岩や卵の殻を1年がかりで取り除いた結果,古竜脚類のマッソスポンディルス(Massospondylus)と特定された。成体では体長が5mになる草食性の恐竜で,長い首と小さい頭を持ち,二足歩行する。化石の赤ちゃんは体長15cmで,成体と比べると前脚と頭が大きく,首が水平に伸び,尾は短い。この不格好な体形から,生後しばらくは四本足ではい回っていたと推測される。
 研究チームは恐竜の赤ん坊と成体,そして中間にあたる若年期の個体を比較し,この恐竜は成長につれて頭部と前脚に釣り合うように首が伸び,重心が下がったのだと結論づけた。「生まれたときは四足歩行で,後に二足歩行になった。これは非常に珍しいケースだ」と,論文の共著者であるトロント大学ミシソーガ校(カナダ)のライス(Robert Reisz)はいう。
 後の時代に出現する竜脚類は成体も四足歩行していた。若いマッソスポンディルスが備えていた四足歩行の形質が保存され,そこから竜脚類が進化した可能性もあるとライスらはみている。また,恐竜が子どもの面倒を見ていた可能性が強まった。化石の赤ちゃんには歯がなく,親が食べ物を与える必要があったと考えられるからだ。Science誌7月29日号に掲載。

サイト内の関連記事を読む