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ふわふわの彗星〜日経サイエンス2005年12月号より

「ディープインパクト」によって意外な姿が浮かび上がった

 

 去る7月に探査機ディープインパクトがテンペル第1彗星の核に命中を果たしたが(「彗星に命中!」日経サイエンス2005年9月号TOPICS参照)、米国天文学会の会合が9月に英国ケンブリッジで開かれ,さまざまな新発見が報告された。
 衝突によって塵が約500mの高さまで放出された。表面からまっすぐに立ち上ったことから、彗星表面の物質は衝突物によって易々と巻き上げられたようだ。飛散物の軌跡からテンペル第1彗星の重力の強さがわかり、さらにその質量と密度も判明した。
 平均密度は水の半分ほどだ。この天体の内部は穴だらけでスカスカの状態に違いない。飛散した塵は非常に細かいので,衝突によって生じたのではなく,彗星表面にもともと存在していたものだ。この彗星には地殻といえるものはないようだ。
 他のデータも考え合わせると,テンペル第1彗星はこれまで想像されてきたような“緻密な雪玉”ではなく,粉が緩く集結した“ふわふわの綿毛玉”だと思われる。太陽系のもととなった原始の塵がゆっくりと寄り集まり,ベッドの下にできるようなホコリの塊になった。もし他の彗星も同様だとすると,欧州宇宙機関(ESA)が「ロゼッタ計画」で2014年に予定しているような彗星への着陸はかなり難しくなる。
 このようなもろさを抱えているにもかかわらず,テンペル第1彗星の表面は惑星とよく似ており,衝突クレーターと見られる窪み(彗星で確認されたのは今回が初めて)のほか,崖やはっきりした段差が見て取れる。また,成分分析からは想像以上に複雑な化学反応が起こってきたことがうかがえる。

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