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行方不明の組み換えトウモロコシ〜日経サイエンス2006年1月号より

 2001年,メキシコのオアハカ州で,本来は存在しないはずの遺伝子組み換えトウモロコシが見つかったとする論文がNature誌に掲載され,論議の的となった。事実なら,遺伝子組み換え種が生態系を乱していることになる。同誌は翌年,科学的根拠が不十分であるとしてこの論文を否定したが,その後のメキシコ政府による調査では当初の報告が裏づけられた。しかし最近の研究結果はNature誌の判断を支持している。

 

 メキシコと米国の共同研究チームがオアハカ州の125カ所の畑で870株のトウモロコシから約15万4,000個の種子を採取して2年がかりで調べ,遺伝子操作の形跡を探した。研究チームは全体の5~10%に遺伝子組み換えの形跡が見られると予測していたが,驚いたことに1つも見つからなかった。

 

 現地の厳しい山岳気候や,原産のトウモロコシが優位に育つ土壌では,遺伝子組み換えトウモロコシは生き残れなかったのだろうと研究チームは推測している。また,組み換え種混入の恐れを知った地元農民が種子の採取・貯蔵に特別の注意を払うようになった可能性もあるという。2005年8月10日付の米国科学アカデミー紀要オンライン版に掲載された。 

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