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核外での遺伝子編集〜日経サイエンス2006年3月号より

 

 遺伝子の情報が,細胞核とは別の場所で編集されている例が見つかった。

 DNAに書き込まれている命令はRNAに転写され,細胞の他の部分へ送られる。遺伝情報が適切につなぎ合わされて,タンパク質生成の指令となったものがメッセンジャーRNA(mRNA)で,遺伝情報が“編集”される過程を「スプライシング」という。人体で多種多様なタンパク質ができるのは,この過程によって同じ遺伝子から別のタンパク質を指定するmRNAが生じるおかげだ。これまでは,スプライシングが起こるのは細胞核のなかだけだとされてきた。
 ところが,ペンシルベニア大学の分子神経生物学者エバーワイン(Jim Eberwine)らが例外を見つけた。ラットを使った実験で,スプライシングにかかわるタンパク質に蛍光標識を付けて追跡したところ,この過程が樹状突起でも起きていることがわかった。樹状突起はニューロンから枝のように突き出た部分で,電気的なメッセージを受け取る役目を果たしている。
 樹状突起ではスプライシングを受けていない形のRNAが保存されていて,所定のタンパク質が必要になるまでは作られないようになっているのだろうとエバーワインは推測している。米国科学アカデミー紀要2005年11月15日に掲載。

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