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丈夫なイネになる秘訣〜日経サイエンス2006年6月号より

ケイ素を吸収する仕組みを解明

 

 イネが土壌中のケイ素を吸収するときに働くタンパク質と,それをコードする遺伝子Lsi1を岡山大学資源生物科学研究所の馬建鋒(ま・けんぼう)教授らのチームが突き止めた。ケイ素は植物の葉や茎などのクチクラ層の下に沈積し,植物を倒れにくくしたり病害虫に食われにくくする働きがある。特にイネはケイ素含有率が最大10%(乾燥重量比)と,ほかの植物に比べて高いことが知られていたが,吸収の仕組みは不明だった。
馬教授らはケイ素を吸収しないイネの突然変異体から6万4000個の種を採取し,通常のイネの遺伝子配列と比較してLsi1を特定した。その後,Lsi1が作るタンパク質が,根の外皮と内皮の間にある細胞の膜上に存在することを発見。中性水溶液中では,このタンパク質がケイ素分子を細胞の中に取り込む。これらが根の道管に届く仕組みだ。

 

 ケイ素はあらゆる植物にとって重要な栄養素だが,その輸送に直接かかわるタンパク質は酵母から微生物,高等植物にいたるまでこれまで不明だった。Lsi1遺伝子をほかの植物に導入すれば,病害虫に強い作物を作ることができるほか,農薬の使用量を減らせる可能性がある。逆にこの遺伝子を取り除けば,「家畜飼料に適した柔らかなワラの開発などに役立つかもしれない」と馬教授は話している。Nature誌3月30日号に掲載された。

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