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重力の痕跡〜日経サイエンス2006年9月号より

 天文学者というものは,太陽系の奇妙な特徴を説明できないとなると,どんなにあり得ないと思われても「衝突」を引き起こそうとする。例えば,海王星の衛星トリトンは他の衛星とは逆方向に回っているが,これまで最有力だった説は,トリトンが遠くから飛んできてビリヤードの球がぶつかるように別の衛星をたたき出したというものだった。
 しかし,新説が登場した。互いに周回しあう1対の天体が海王星の近くを通過すると,海王星に対してゆっくり動いているほうが重力によって捕獲されて周囲を回るようになり,他方はそのまま行き過ぎる可能性があるという(Nature誌5月11日号に掲載)。過去数年間で,こうした連星系が太陽系周縁部でたくさん見つかっている。
 また同様に,天王星とその衛星の自転軸が天王星の軌道面に対して98度傾いていることにも,重力によって説明がつくかもしれない。大型ガス惑星がまだ若かったころの運動をコンピューターでシミュレートしたところ,土星と天王星が接近した際に,土星の自転のふらつきによって天王星が突き動かされた可能性があることがわかった(Nature誌4月27日号に掲載)。原始惑星が何かと衝突して傾いたのではないようだ。

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