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変化する自然定数〜日経サイエンス2006年9月号より

 自然界の定数は不変だと考えられているが(まあ,だから「定数」というのだけれど),陽子や電子の質量が時とともに変化してきたらしいことがわかった。
 アムステルダム自由大学の研究者たちは実験室で水素ガスに極端紫外線のレーザービームを当て,吸収光の波長を調べた。この結果を,チリにある欧州南天天文台が観測した宇宙の水素ガス雲に関する値と比べた。この水素ガス雲が吸収したのは,遠方のクェーサーの放射,つまり120億年前に発生した光だ。
 どちらの場合も,いくつかの吸収波長は電子に対する陽子の質量比に依存する。現在,陽子の質量は電子の約1836倍だ。解析の結果,この値は宇宙が若かったころに比べて5万分の1ほど減少したらしいと判明した。
微細構造定数(電磁気力の総合的な強さを示す)がわずかに増加してきたとする観測結果が相次いでいるが,今回の発見はそれを補完するものだ。Physical Review Letters誌4月21日号に掲載。

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