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“貧血”の植物プランクトン〜日経サイエンス2007年1月号より

 海で行われている光合成には長年の謎があった。なぜ太平洋の一部では植物プランクトンの成長が遅いのかという謎だ。湧昇流のおかげで海水がかき混ぜられ,どこでもほぼ十分な二酸化炭素が存在するというのに……。答えは鉄の欠乏にあるらしい。

 

 鉄の濃度が低い水と高い水を比較すると,植物プランクトンのクロロフィル(葉緑素)の量は同じなのに,鉄の少ない水中では光合成が減る。「鉄欠乏状態では,植物プランクトンは必要以上のクロロフィルを作り出す」と,研究を指揮したオレゴン州立大学のバーレンフェルド(Michael Behrenfeld)はいう。こうしておけば,環境が変わって鉄の量が増えると,余分に作ってあったクロロフィルをすぐに使えるわけだ。

 

 以前の研究はクロロフィル量だけを測定した衛星画像に基づいており,この差を明らかにできなかったと考えられる。また,鉄が欠乏しているとすると,海洋への二酸化炭素の取り込み量を実際より2~4%多く見積もってきた可能性があるという。Nature誌2006年8月31日号に報告。

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