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暗黒物質を“発見”〜日経サイエンス2007年1月号より

 暗黒物質(ダークマター)は宇宙の質量の大部分を占めるとされる目に見えない理論上の物質だが,その存在を示す証拠を探すなら,いまのところ2つの銀河団の衝突を観測するのが最善だ。

 

 X線天文衛星チャンドラが銀河団衝突を撮影し,大きい銀河団が小さい銀河団から通常物質の塊を高温プラズマの形で引き出している様子をとらえた。理論によると,銀河団衝突の際にはプラズマは暗黒物質とは分離して運動する。

 

 研究チームは衝突銀河団の各部が重力レンズ効果によって背後の光をどれだけ曲げているかを調べた。屈折が大きいほど,その領域の重力が大きい。この結果,最大の重力レンズ効果を引き起こしているのはプラズマ部分ではなく,目に見えない別の質量が屈折の主因であることがわかった。

 

 この最新の成果は,暗黒物質の正体については何も語ってくれないが,従来の重力理論を劇的に書き換える必要はないことを示している。Astrophysical Journal Letters誌2006年9月10日号に報告された。

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