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細胞活動を磁力で制御〜日経サイエンス2008年5月号より

 細胞は自らの表面にあるさまざまな受容体タンパク質を利用して,周囲の環境を察知している。受容体が特定の分子を捕まえると一連の生化学的現象が次々と起こり,ホルモン分泌や病原体の破壊など,細胞の行動につながる。だが,受容体のスイッチが入るにはまず,受容体どうしが互いに出くわす必要がある場合が多い。
 ハーバード大学医学部のイングバー(Donald Ingber)らは,この活性化をコントロールする実験に成功した。ヒスタミンを作るマスト細胞の受容体に結合したジニトロフェニル(DNP)分子に,酸化鉄の微粒子をくっつけた。この直径30nmの微粒子を磁化すると,微粒子どうしが引き合い,それによって受容体も集合して活性化する。その結果として細胞内のカルシウム濃度が瞬間的に上がるのを検出した。この濃度上昇はヒスタミン分泌につながる最初のステップだ。
 この技法は病原体を検出する軽量・省エネ型のバイオセンサーや,体内で薬物を送達する新方法につながる可能性がある。Nature Nanotechnology誌1月号に掲載。

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