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がん細胞と白血球の融合〜日経サイエンス2008年9月号より

 がんが転移して全身に広がるのはなぜか。その秘密は腫瘍細胞と白血球の融合にあるのかもしれない。そうした融合体は白血球がもともと持っていた遊走力と,際限なく分裂を続けるがん細胞の性質を併せ持つだろう。この融合説が最初に提唱されたのは1900年代初め。エール大学のチームが15年間に及ぶ研究の結果,白血球と腫瘍細胞を融合させると転移性の大きなハイブリッド細胞になり,マウスに移植すると死に至ることを示した。その後,こうしたハイブリッド細胞がマウスの体内で自然に生まれることがわかった。
 骨髄移植を受けたがん患者に関する最近の研究では,患者の腫瘍細胞のなかから骨髄の白血球の遺伝子が見つかった。白血球が腫瘍細胞をのみ込んだ後に融合が起こっているのだろう。この融合を腫瘍細胞がかかる病気として見れば,転移に対抗する新たな治療法を考案できるかもしれないと研究チームはいう。Nature Reviews Cancer誌5月号に掲載

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