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カメレオンの舌の秘密〜日経サイエンス2010年7月号

寒くても素早く伸びるわけは…

 

 寒くなると冷血動物の動きは鈍る。これは冷血動物の獲物になる生き物にとっては,よいニュースであるはずだ。ところが0.07秒で舌を自分の体長の2倍にまで伸ばせるカメレオンの場合,この武器を繰り出すスピードはほとんど落ちない。
 なぜだろうか。その理由を探るため,南フロリダ大学のアンダーソン(Christopher Anderson)とデバン(Stephen Deban)はカメレオンをいろいろな条件に置いて観察し,気温が10℃下がっても舌の動きは10~19%しか遅くならないことを発見した。 秘密は舌の結合組織にある。結合組織は筋肉の動きではなく,丸まっていたものがほどける勢いによって繰り出される。対照的に,完全に筋肉によっている他の冷血動物の舌の動きは,同じ低温条件下で42%遅くなった。
 しかしカメレオンも,舌で捕まえた獲物を引き寄せるスピードは大きく落ちた。舌を丸めてたたむこの動作は筋肉の収縮に基づいており,スピードは42~63%低下した。カメレオンのなかには気温が氷点下になる地域に生息するものもいるが,今回の発見で,広範囲にカメレオンが分布して獲物を捕食できる理由がわかる。米国科学アカデミー紀要オンライン版3月8日号に掲載。

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