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銀河団内の暗黒物質分布〜日経サイエンス2010年7月号

すばる望遠鏡の観測で明らかに

 

 国立天文台などの研究グループは約30億光年離れた銀河団18個について,それぞれの内部で暗黒物質がどのように分布しているのかを,すばる望遠鏡を使って明らかにした。成果は4月27日に発表した。暗黒物質については数十億光年スケールの超広域分布の観測例はあるが,特に集中度が高い銀河団に的を絞って高精度で調べたのは初めて。
その分布は球状ではなく,大きく歪んだ楕円状になっていた。この結果は,暗黒物質が動きの鈍い未知の素粒子であって,普通の物質粒子とも自身と同種の粒子ともほとんど相互作用しないと仮定した場合の理論予測とよく一致する。暗黒物質の正体解明につながる研究成果だ。
 暗黒物質は光を発せず,他とほとんど相互作用しないので直接観測はできない。しかし重力は及ぼすので,それによる他の天体への影響を調べることで分布がわかる。今回,研究グループはターゲットとなる銀河団の背後に存在するはるか遠くの銀河(平均距離約80億光年)をすばる望遠鏡で精密測定し,ターゲット銀河団内の暗黒物質の重力による背景銀河像の歪み(重力レンズ効果)を調べることで,暗黒物質の分布状況を見積もった。観測した超遠方の銀河の数は,1つのターゲット銀河団につき約2万個に達する。

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