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空飛ぶイカ〜日経サイエンス2010年12月号

新たな写真がイカ飛行の証拠

 

 フロリダ州にあるバリー大学で教鞭をとる海洋生物学者のマシア(Silvia Maciá)は2001年夏にジャマイカの北海岸沖を航行していた際に,海面から何かが飛び出してくるのに気づいた。最初は魚だと思ったのだが,その生物が描く優雅な弧を目で少し追ってみたら,イカだとわかった。イカが飛んでいたのだ。
 マシアはこれをきっかけに,イカの飛行という珍しい現象に関する研究論文を2004年に共同執筆した。マシアらによると,体長わずか20cmほどのイカが水面から2mの高さまでジャンプし,ヒレを盛んにはばたかせ,触腕(足)を螺旋状に巻きながら,10mも飛ぶことができるという。
 また,この論文には,吸い込んだ海水を噴射して推進力を得る“ジェット推進”によって海上3mの高さまで飛び出すイカが少なくとも6種類いることを示す目撃例が報告されている。イカはときには1匹で,ときには集団で飛行し,船に匹敵するスピードで飛ぶこともある。
 写真のほか不確かではあるが目撃事例が増え,イカの飛行メカニズム解明の参考になっている。海洋生物センサスの上級科学者オドー(Ron O’Dor)は,昨年にブラジル沖で撮影された画像を解析中だ。空飛ぶイカをとらえた過去最高の証拠となりそう。「いくつかの写真を見ると,空飛ぶイカはヒレを翼として使っているように見える」とオドーはいう。これらの写真から,イカの飛行速度を算出できると期待している。

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