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謎の粒子は“見えた”のか~日経サイエンス2011年9月号より

暗黒物質はまたもや観測の網をすり抜けた?

 

 暗黒物質(ダークマター)の正体は誰にもわかっていない,なぜなら誰もそれを見たことがないのだから──というのが一般的な説明だ。この前半部分は現在も議論の余地がない。どんな仮想粒子も暗黒物質の候補たりえるのだから。これに対し後半部分については,暗黒物質を見た,いや見ていないと,最近はこれまで以上に意見が分かれており,暗黒物質探しを競っている研究者の間で激しい議論になっている。
 研究グループが何年も前から暗黒物質粒子を検出したと主張していることだ。だが同グループはそのデータを十分に公開していないと批判されており,多くの物理学者は多かれ少なかれ懐疑的に見ている。実際,XENON100という暗黒物質検出の共同実験はこの4月,DAMAの検出シグナルが暗黒物質から来た可能性を否定するような発見を報告した。
 問題はデータそのものというより,その意味だ。理論が予測するように暗黒物質が銀河系を取り囲んでいるなら,地球は暗黒物質粒子の海のなかを軌道運動していることになり,DAMAはこれを“周囲の粒子環境”の1年単位の増減変化として検出するはずだ。DAMAは10年以上にわたって,このパターンに一致するかすかな変動を記録してきた。
 米ボルティモアにある宇宙望遠鏡科学研究所の天文学者リビオ(Mario Livio)は5月の暗黒物質シンポジウムで,「あるシグナルをDAMAがとらえているという点に誰も異論はないと思うが,しかし問題は,そのシグナルが何であるかだ」と述べた……。

続きは現在発売中の9月号誌面でどうぞ。

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