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ヤマ場迎えるLHC実験~日経サイエンス2011年9月号より

万物に質量を与えるヒッグス粒子の探索が佳境だ

 

 日本の素粒子研究グループがオールジャパンの体制で参画する欧州合同原子核研究機構(CERN,スイス・ジュネーブ)での大型加速器実験が大きなヤマ場にさしかかりつつある。大型ハドロン衝突型加速器LHCで進めている陽子衝突実験が予想以上に順調で,2011年の目標に掲げてきた衝突実験の回数を6月までの3カ月で達成した。世界の素粒子物理学者が長年探し求めてきた,万物に質量を与える「ヒッグス粒子」の存在を示す兆候が,実験によって得られた膨大なデータの中から見つかるかもしれない。
 CERNは6月17日付で「新しい物理を目指す挑戦が重要なマイルストーンを超えた」との声明を発表した。周長27kmの主リング加速器にある2つの実験装置,アトラス(ATLAS)とCMSで発生させた陽子どうしの衝突が「1インバース・フェムトバーン」に達したという。インバース・フェムトバーンという耳慣れない単位は,この世界の特殊用語。1インバース・フェムトバーンは70兆回の衝突を意味する。CERNのマイヤース(Stephen Myers)加速器・技術部長は「新しい物理に近づくのに十分な量のデータだ」とコメントしている。

 

敷かれた箝口令
 ヒッグス粒子は素粒子物理の標準モデルで存在が予測されながら,まだ見つかっていない,いわばパズルの最後のワンピースだ。電子やクォークなどの素粒子はなぜ質量を持つのか。粒子間の相互作用を通じて,それらの素粒子に質量を与えているのがヒッグスだと考えられている……。

続きは7月25日発売9月号誌面でどうぞ。

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