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大腸菌から目を離すな~日経サイエンス2011年9月号より

病原性の菌株が広がりつつある

 

 一般にもよく知られるようになった細菌のフルネームといえば,腸管出血性大腸菌O157だろう。米国ではハンバーガーチェーンの「ジャック・イン・ザ・ボックス」やメキシカン・ファストフード・チェーンの「タコベル」で起きた食中毒が有名で(前者は1993年,後者は2006年),生野菜パックによる食中毒騒ぎもあった。これらの原因菌は「O157:H7」だ(Oは細胞壁のO抗原,Hは鞭毛のH抗原で,菌の名称はそれらの種別を表している)。

 しかし最近,O157:H7顔負けの強毒性の菌が登場した。この春,ヨーロッパで「O104:H4」によって数十人が死亡,数百人が入院する事態となった(訳注:ちなみに4月に日本の焼き肉チェーンで起こった生肉による食中毒の原因菌は「O111」)。米疾病対策センター(CDC)は少なくとも6タイプの病原性大腸菌の動向を追跡している。これらはO157:H7やO104:H4と同様,いわゆるベロ毒素を作り出す菌で,感染すると出血性の下痢を引き起こし,ひどい場合には致命的な腎不全に至る。
 春以降これまで十分には報道されてこなかったポイントを下に掲げた。

 

1. 大腸菌感染後に抗生物質を服用すると,かえって悪化する恐れがある

2. O104:H4は少なくとも14種の抗生物質に耐性を獲得ずみ

3. いずれ米国にもO104:H4が出現するかもしれない

4. O157:H7の脅威はさほどではなくなりつつある

 

詳しくは7月25日発売の9月号誌面でどうぞ。

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