きょうの日経サイエンス

2010年8月10日

12の出来事その10 極域のメルトダウン

発売中の日経サイエンス9月号科学大予測 世界が変わる12の出来事」からサワリをご紹介します。1項目ずつ不定期にアップしますので,またのぞきに来て下さい!

 

出来事10 極域のメルトダウン
2050年までの実現性……起こりそう

 

 「今世紀末までに海水面が1m上がると考えて,対処計画を立てよ」と雪氷学者のビンドシャドラー(Robert Bindschadler)はいう。「海の熱が氷床を殺しつつある」。フロリダ州が海面下5mに沈み,バングラデシュが大きな湾になる――といったよく知られた予測が現実になるのは数百年先だろう。しかし2100年までには北極の氷が消え,世界の海岸線が形を変えると予想される。
 それどころか,温室効果ガスの排出を抑制しない限り,山岳氷床とグリーンランド,南極大陸の氷が解けてなくなる。これらを全部合わせると,海面を少なくとも65m上昇させるだけの水になる。
 また,氷が周囲の海水に及ぼす引力のため事態が複雑になることが,最近になって認識されるようになった。例えばグリーンランドの氷が解けると,それによる海面上昇の大部分は南半球で生じ,南極の氷が解けた場合は北半球で上昇する。極域のメルトダウンは避けがたい。気候変動の影響が氷床の融解という形で表れるまでに時間差があるうえ,いったん解けてしまうと再形成しにくいからだ。

 

*次の出来事11は「米国西海岸の地震」。あなたのオッズは? お楽しみに!