きょうの日経サイエンス

2010年5月19日

声で割れる?

 

 今回の『大科学実験』は「声でコップが割れる?」です。

 

 力士を吊り下げた「コップは力持ち」 のときとは違い,今回はコップを割るのが目的。で,スタッフは割れそうなコップを探したわけですが,「当たり前ですが,メーカーでは普通『割れないように』作るので,『割れそうな』というのは,なかなか聞いても見つかりませんでした」と竹内慎一チーフプロデューサー(CP)。それはそうでしょうねぇ。でも探しているうちに,スタッフにもわかってきたのが「薄くて,堅いガラス」なのだそうです(つまりは,お高いガラスです)。粘性の高いのはダメ。振動で変形させるわけですから,当然と言えば当然ですが,なるほどなぁ?という感じです。
 もう1つの「へぇ」は音カメラ。建設大手の熊谷組が開発したもので,ホールなどでの音響を見るのだそうです。ああやって,色のついた球になっていると本当によくわかります。われわれヒトって,視覚を頼りにする生き物なんだなとつくづく思います。

 

 ところで皆さま,番組はごらんになりましたか? もしまだでしたら,ネタバレを含みますので,まずは見てください。期間限定だそうですが,下記サイトからご覧になれます。

NHKエデュケーショナル『大科学実験』はこちらから

 

 ご覧になりました? 

 

 私は最後は割れると思っていました。理屈では割れてもおかしくないし,この番組ではうまくいかないのも,実は“想定通り”で,最後はちゃんとうまく行っていました。前回のメリーゴーラウンドでも,実験レンジャーさんがすぐにバテてしまったのは,ある意味予定通りだったというし(バテずに回し続けたら,番組シナリオ的にはどうするつもりだったのだろう・・・)。

 

ところが,今回は予備実験を半年も繰り返しながら,生の声では一度も割れなかったそうです。声を録音してスピーカーで出したときに割れたこともあったそうですが,竹内CPによれば,「何十回,何百回もやって,成功したのは数回だけ。つまり音量と音の高さのキープは,一般人にはかなり難しいということですね…。そのときも何時間も粘って実験したので,割れたときはみな逆にびっくりしていました」。

 

 そんなわけで,収録では長期戦になって“あきらめムード”が漂うのを恐れていたそうです。でも,番組にあったように,最初にスピーカーからの人の声で割れる映像を見せたら,モチベーションが上がり,みんなが本気で挑戦していたので「実験中は妙な一体感が生まれていたような気がします」(竹内CP)。

 

 サッカー選手が一番いいところまで行き,それが,声楽家の方々のやる気をかき立てたのも番組で映っていた通り。実際にトライしている部分の収録は6?7時間もかかったそうですが,声楽家の方の中には,撮影終了後も「やらせて!」と挑戦した方もいたのだとか。やはりプロの意地があったのでしょうね。

 

 挑戦者は声を出す仕事の人(ロック歌手や声楽家,舞台俳優など)を選び,スポーツ選手を加えたのは,「映像的なバラエティを出すのが目的で,実を言うとほとんど期待していませんでした」(竹内CP)とのこと。ところが,実際はご覧の通り。

 

やっぱり,「やってみなくちゃわからない!」,ですね。

 

NHKエデュケーショナル『大科学実験』はこちらから