きょうの日経サイエンス

2010年5月12日

回せ,回せ!

 

 今回のNHK『大科学実験』は人力発電でメリーゴーランドを回そうというもの。

 番組では自転車のような人力発電機でメリーゴーランドを動かしましたが,当初は日本海でイカ釣り船の漁り火(集魚灯)をつけてイカや魚を集めようという計画だったそうです。スタッフは新潟の漁港に出向き,漁師さんたちのお話を伺うところまで進んだそうなのですが,それなりの数の人力発電機を船に乗せられるか,カメラはどこからどうやって撮影するか,果ては船酔い対策は……,などと課題が続出して,このアイデアは流れてしまったそうです。ちょっと残念。

 実は今回の番組で,詫摩が個人的に一番驚いたのはメリーゴーランドが2200Wで動くということ。我が家の電子レンジは700Wですし,ドライヤーは1000Wです。どちらも長時間使うものではありませんが,それにしても……という感じでした。
 予備実験を行った羽岡さん(理科教育番組ひとすじ40年!という大ベテラン)のお話ですと,自転車発電機でドライヤーを使うと,送風だけならば楽にこげるものの,ヒーターをつけて温風にすると途端にペダルが重くなったそうです。こういう場合の2200Wや1000Wといった表示は最大消費電力のこと。メリーゴーランドの場合は動き始めるときが最大となるはずで(前回の慣性の法則ですね!),このとき200Vの電源で最大11Aの電流を流して動かすことになり,2200W。家庭用ドライヤーの電源は100Vですし,そもそもエネルギーの変換効率も違いますから,「単純に比較できないと思います」とのこと。それでも,発熱する家電製品の消費電力の大きさを改めて思い知らされました。

 

 前回の『リンゴは動きたくない?』では何回か失敗し,日を改めての撮影になりましたが,今回の「漕ぐのが速すぎてうまくいかない」もまったくの想定外のトラブルだったそうです。竹内慎一チーフプロデューサー(CP)によれば「みんな原因がわからないので,途方に暮れた」。もしかしたら?と,最初はゆっくり漕いでみたらうまく行ったというのが実状だったのだとか。
 実験レンジャーさんが漕ぎ手の時は,時間が短すぎてすぐにメリーゴーランドが止まってしまいましたが,これは想定内。「普通の人だと,1分ももてばいいだろうなと思っていました」とのこと。

 競輪選手の方々には電飾もつけたメリーゴーランドを回してもらう予定だったので,最初から夕暮れになってからの撮影を計画していたそうですが,「漕ぐのが速すぎ」のトラブルのせいで真っ暗に。

 撮影は今年2月で,前日には雪が降り,園内に残っていた雪を片付けての敢行。番組をよく見ると,漕いでいない実験レンジャーさんは寒そうです。メリーゴーランドの女の子は大丈夫だったのかと心配になりましたが,「元気いっぱいだったようです」(竹内CP)。さすが“子どもは風の子!”(古い?)。

 

NHKエデュケーショナル『大科学実験』はこちらから