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減税効果の真実〜日経サイエンス2012年1月号より

消費者は浮いたお金をどこに回しているか

 

 米国でも所得税率と政府のスリム化をめぐって与野党が盛んに議論してきたが,言葉が先行するばかりでデータに乏しい。所得税減税で浮いたお金をどうするかは,その人の経済状況によって異なるだろうが,これまでの研究はその点をどうみているだろうか? 政府が大金持ちへの減税措置を取りやめたら,経済は停滞するだろうか?

 減税で浮いたお金が貯蓄よりも消費に流れるのなら,減税によって消費と投資が増えて経済を短期的に刺激できるという点で,専門家の見方はほぼ一致している。過去の観測によると,低所得層は給料ぎりぎりのその日暮らし的生活をしているので,富裕層に比べるとお金を消費に回す可能性が高かった。しかし,ミシガン大学アナーバー校の経済学者スレムロッド(Joel Slemrod)は,「私たちの研究では,過去10年間はそうなっていないと考えられる」という。直近の何回かの減税は金融危機の後だったので,貧しい人々は資産を積み増すか借金を返すのにお金を回して,痛みを和らげようとしたようだ。富裕層も惜しげなくお金を使ったわけではない。ムーディーズ・アナリティクスの2010年の調査によると,2001年と2003年の減税は富裕層の貯蓄額の増加に拍車をかけたようだ。(続く)

 

続きは現在発売中の2012年1月号誌面でどうぞ。

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