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新たなご先祖さま〜日経サイエンス2012年1月号より

最古の真獣類の化石が見つかった

 

 おおかたの人は胎盤のことを,出産後に不要になって捨てられるものくらいにしか思っていない。しかし実のところ胎盤の出現は進化史上の大事件であり,これによってコウモリからクジラ,ヒトに至る現生哺乳動物の大半が生まれてきた。

 これまで,胎盤を持つ哺乳動物が最初に現れたのは1億2500万年前であり,その時点で,育児嚢で子どもを育てる現在の有袋類につながる系統と分岐したと考えられてきた。しかし,最近見つかった新たな化石によって,この分岐が起こったのはさらに3500万年さかのぼることがわかった。胎盤を持つ哺乳動物(「真獣類」という)は,これまで考えられてきたよりもはるかに長い間,恐竜と共存していたことになる。

 

ジュラマイア・シネンシス

 去る8月にNature誌に報告されたその化石はジュラマイア・シネンシス(Juramaia sinensis)というトガリネズミに似た生き物で,1億6000年前に中国を歩き回っていた。カーネギー自然史博物館の古生物学者,羅哲西(Zhe-Xi Luo)が率いる研究グループによると,胎盤を持つ哺乳動物としては知られる限りで最古の生き物だとみられる。

 胎盤があれば,母から胎児へ素早く効率的に栄養を送れるので,脳の成長が速まり,出生時の脳は大きく成熟したものになり,代謝速度も上がる。これらはすべて,現在の哺乳動物に見られる複雑な行動や社会性を発達させるうえで大きな意味を持った。(続く)

 

続きは現在発売中の2012年1月号誌面でどうぞ。

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