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モンスターではなかった一番星〜日経サイエンス2012年1月号より

宇宙で最初の星は予想されたような太陽の数百倍の質量の星ではなかった

 

 宇宙で最初に誕生した星はいったいどんな姿だったのか? これまでの理論予想では太陽の数百倍の質量を持つモンスターのような星で,まばゆい青白い光を放っていたと思われていた。

 だが予想は外れたようだ。京都大学と東京大学数物連携宇宙研究機構(IPMU),米航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所の共同チームが,星の形成プロセスを非常に精密に再現するコンピューターシミュレーションを行ったところ,星は太陽の質量の40倍を超えたあたりで成長が抑制され,それ以上大きくならないことが判明した。星や銀河の進化を考える上でエポックとなる成果で「ファーストスター(一番星)研究の決定打」と村山斉IPMU機構長は話す。2011年11月11日付のScience電子速報版に掲載。

 

出発点は仮想宇宙の原始星

 

 宇宙は約137億年前に誕生し,それから約40万年後にガスと光が分かれた。そのとき放たれた光(宇宙マイクロ波背景放射)の精密測定から,当時の密度ゆらぎの状況がわかっている。星はその密度の高い領域で生まれた。ただ最初の星が輝き始めるまでの数億年間は宇宙は真っ暗な「暗黒時代」だったので観測データはない。その間の宇宙の状態を探る手段としてシミュレーション研究が盛んになっている。

 今回の研究のベースとなったのは研究チームのメンバーであるIPMUの吉田直紀准教授や京大の大向一行准教授らが2008年に発表した成果。吉田准教授らは,星のもとになるガスの振る舞いなどに仮定を置かない「第一原理的シミュレーション」によって,背景放射の密度ゆらぎの中から最初の原始星が誕生するまでをリアルに再現することに成功した。

 それによると暗黒時代の初期,数千万天文単位(1天文単位は太陽・地球間の距離で約1億5000万km)のスケールの暗黒物質の高密度領域ができ,その重力でガスが引き寄せられ,中心部に分子ガス雲が形成された。そして暗黒時代が始まって約3億年後,分子ガス雲の中心に原始星が誕生した。高温高密度のガス球で,ガスの内圧によって重力収縮がストップし,星としての形を保つようになったものだ。(続く)

 

続きは現在発売中の2012年1月号誌面でどうぞ。

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