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超光速ニュートリノ?〜日経サイエンス2011年12月号より

特殊相対性理論を覆す実験データが発表されたが,真偽は明らかになっていない

 

 素粒子ニュートリノが超光速で飛行するとの実験データを,日本を含む国際研究グループが発表した。「光より速いものはない」とするアインシュタインの特殊相対性理論に反するもので,「科学全般に与える潜在的な衝撃の大きさから,拙速な結論や物理的解釈をするべきものではない」と研究グループはコメントしている。
 にわかには信じがたい話だが,今年のノーベル物理学賞の受賞業績となった宇宙の加速膨張の発見のような例もある。別の実験研究グループによる検証が待たれている。
 発表したのは国際共同のOPERA実験グループ。スイスにある欧州合同原子核研究機構(CERN)から地中に向けてニュートリノを発射。ニュートリノは物質とほとんど相互作用しないので地中をスムーズに飛行し,約730km先のイタリアの地下施設に到達する(観測装置の開発では名古屋大学が中心的役割を果たした)。ニュートリノの観測データを解析した結果,飛行速度の平均値は光速より2.48×10−5(約0.0025%)速くなった。
 同様の結果は2007年,別グループも発表している。米国のMINOS実験で,ニュートリノ飛行距離はほぼ同じ730km。光速より5.1×10−5ほど速いという結果だった。ただニュートリノの観測データは500個に満たず,誤差は±2.9×10−5と大きいので,本当に超光速だと考えることは難しい。
 一方,OPERAのデータは約1万6000個。統計誤差が±0.28×10−5,観測装置に由来する誤差(系統誤差)が±0.30×10−5なので,両方の誤差を考慮しても,ニュートリノが超光速である可能性はMINOSの報告より格段に高い。
 これら2実験は加速器で生み出したニュートリノを用いているが,超新星で生み出されたニュートリノの飛行速度の報告もある。1987年に大マゼラン雲に出現した超新星由来のニュートリノで,日本の研究施設カミオカンデがとらえた。(続く)

 

続きは現在発売中の12月号誌面でどうぞ。

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