日経サイエンス  2020年11月号

特集:アルツハイマー病

発症を抑える治療を目指す

西道隆臣(理化学研究所脳神経科学研究センター)

 患者の脳には,老人斑という目立った特徴がある。これを形成する異常なタンパク質「アミロイドβ」を取り除くことを目的とした抗体医薬がいくつも開発されたが,結果は芳しくない。著者らは,蓄積が進んで凝集し,硬い老人斑になる前に,アミロイドβの分解を促そうとしている。アルツハイマー病では,実は軽い認知症状が表れる前から,アミロイドβの蓄積が始まっている。この段階で蓄積を抑えることができれば,発症前にアルツハイマー病を食い止める「先制医療」になりうるだろう。

著者

西道隆臣(さいどう・たかおみ)

理化学研究所脳神経科学研究センター(理研CBS)神経老化制御研究チーム・チームリーダー,薬学博士。1988年に東京大学大学院薬学系研究科博士課程修了後,東京都臨床医学総合研究所・遺伝情報研究部門に主事として勤務。1997年に理研脳科学総合研究センター(BSI)神経蛋白制御研究チームのチームリーダー,改組により2018年より現職。個々のタンパク質の寿命に注目。脳でタンパク質のターンオーバーがうまくいかないことで生じるアルツハイマー病などの神経変性疾患の予防・診断・治療法の開発を目指している。

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