日経サイエンス  2020年9月号

特集:太平洋に消えた巨大島

プレートの裂け目から生まれた大地 シャツキー海台

W. W. セーガー(ヒューストン大学)

2015年10月中旬,海洋調査船ファルコーのデッキにある科学調査室で,私は太平洋の巨大な海底火山「タム山塊」の周囲の海底を描いた地図に記された,ほぼ平行に並ぶ縞模様を眺めていた。それは海底に,岩石の磁化が互いに逆向きになった帯状のエリアが交互に並んでいることを示しているが,これはこの火山がどうできたかついての私の考えと合わなかった。突然ファルコーの船体に大波がぶつかって大きな音を立て,その瞬間,私は自分の見落としに気づいた。これまで私たち研究者が考えていたことは間違いだったのだ。

 

タム山塊は日本の東沖,太平洋の海底に広がる地球最大級の海台「シャツキー海台」の最高峰だ。それでも山頂は海面下約1980mの深さにある。シャツキー海台をはじめとする巨大海底火山がどのように生まれたかについて,科学者はこれまで,大量のマグマがマントルから上昇して地殻を貫き,海底を突き破って周囲に流れ出たと考えていた。だがそれは誤解だったようだ。実のところ,私たちはまったく新しいタイプの火山を偶然に発見したのである。

著者

William W. Sager

ヒューストン大学の地球物理学の教授。これまでに46回の海洋調査を経験。「タム山塊」という名前の名づけ親でもある。

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スーパーボルケーノ 超巨大噴火の脅威」,I. N. ビンデマン,日経サイエンス2006年9月号。

原題名

Massif Redo(SCIENTIFIC AMERICAN May 2020)

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