日経サイエンス  2020年8月号

特集:室温超電導 実現への突破口

編集部

 100年以上前,極低温の水銀で電気抵抗がゼロになる超電導が発見されて以来,世界中の研究者が臨界温度(超電導になる温度)が高い物質の探索に血道を上げてきた。室温超電導が実現すれば損失ゼロの電力網や電力貯蔵に道が開けエネルギー革命が起きるからだ。これまではもっぱら試行錯誤によってきたが,新たな超電導物質を理論的に予測する手法が登場。従来の最高記録を約50度も上回る-20℃から-10℃で超電導になる物質が発見された。水素を大量に含む結晶で,地球中心部に相当する超高圧で安定化する。超電導は結晶内の電子の量子的な振る舞いだが,この結晶は結晶を構成する原子核自体も量子力学的な影響が強く表れる特殊な状態,「量子固体」になっていることが明らかになった。
 

 
予測モデルがもたらした可能性  B. ヘンダーソン
新たな有力候補 超高圧の量子固体  中島林彦 協力:只野央将/是常隆/有田亮太郎