日経サイエンス  2019年11月号

特集:BMIで拡張する身体

第3の腕を手に入れる

古田彩(編集部) 協力:西尾修一/平田雅之(ともに大阪大学)

女性が両手で白い箱を持って,何かの作業をしている。そこへ左からプラスチックボトルが差し出された。すると黒いシャツを着たロボットの腕がすっと手を上げ,ボトルをつかんだ──。京都府にある国際電気通信基礎技術研究所(ATR)主幹研究員の西尾修一(現在は大阪大学特任教授)らの研究グループが開発したBMI(ブレイン・マシン・インターフェース)の実験風景だ。頭にかぶっているのは脳波の測定装置。ボトルを出されたときに「持ちたい」と念じると,そのときの脳波を装置で検出し,ロボットアームを動かすという。いわば「念じて操作する」ロボットアームだ。

 

BMIのアームはこれまで主に,四肢麻痺などで腕の機能を失った人の義手として研究されてきた。手を動かす時に脳が出す信号を検出し,自分の腕にさせたい動作を人工のアームで代行する。だが西尾は「自分の腕の代わりではなく,両手を使える人が『第3の腕』として使えるものを作ってみよう」と思い立った。両手がふさがっているときに別の作業をやってくれる,いわば「お手伝いアーム」だ。
 
 

著者

古田彩 / 協力:西尾修一(にしお・しゅういち)・平田雅之(ひらた・まさゆき)

西尾は日本電信電話,国際電気通信基礎技術研究所(ATR)を経て大阪大学先導的学際研究機構附属共生知能システム研究センター特任教授。専門は感情心理,アンドロイドサイエンス。平田は東京大学大学院工学系研究科修了後,大阪大学大学院医学系研究科を修了。脳外科医。同大国際医工情報センター教授を経て医学系研究科特任教授。専門はBMIによる脳機能の再建。

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