日経サイエンス  2019年11月号

フロントランナー挑む 第96回

膨大な分析と柔軟な発想 オートファジーに迫る:野田 展生

滝 順一(日本経済新聞編集委員)

生命活動に不可欠なタンパク質の構造解析の専門家
細胞の重要現象,オートファジーの解明で成果を上げた
膨大な分析と柔軟な発想で構造生物学に革命をもたらそうとしている

 

 微生物化学研究所(微化研,東京都品川区)構造生物学研究部部長の野田展生は, 細胞内で不要なタンパク質などを分解し再利用する「オートファジー」のメカニズムの解明に取り組んでいる。長年,タンパク質のX線結晶構造解析を通して生命活動の基本であるタンパク質の機能を探ってきたが,オートファジー研究の先駆者である東京工業大学栄誉教授の大隅良典に出会い,その現象の不思議さに魅せられた。      (文中敬称略)
 2019年3月22日,微化研の一室で野田は大隅と並んで記者会見に臨んでいた。野田らの研究チームがオートファジーで重要な働きをする脂質二重膜,オートファゴソームの形成プロセスを明らかにする研究成果を発表したのだ。

野田 展生(のだ・のぶお) 微生物化学研究所構造生物学研究部部長。1973年生まれ。2001年東京大学大学院薬学系研究科博士課程修了,北海道大学大学院薬学研究科博士研究員に。同研究科助教,講師を経て,2011年に公益財団法人微生物化学研究会微生物化学研究所主席研究員。2017年から現職。