日経サイエンス  2019年7月号

異常気象の多発を読み解く

M. E. マン(ペンシルベニア州立大学)

ジェット気流が大きく蛇行すると,夏場の豪雨や熱波につながる。この蛇行パターンが停滞すると,そうした悪天候が何日も続く。ジェット気流の蛇行が大気の共振によってどのように増幅されて異常気象がさらに悪化するのか,量子力学で用いられている「WKB近似」という数学的解析手法によって説明できる。「ロスビー波」という大気の振動が一種の共振によって増幅し,蛇行ジェット気流の停滞を招くことが示された。2050年ころまでは石炭火力発電所から排出されるエアロゾルがこの悪化を抑えるが,脱硫装置の設置が進むにつれ再び悪化するだろう。

著者

Michael E. Mann

ペンシルベニア州立大学の大気科学の教授で地球システム科学センター所長。著書・共著書に「Dire Predictions」,「地球温暖化論争 標的にされたホッケースティック曲線」(邦訳は化学同人),「The Madhouse Effect」,「The Tantrum That Saved the World」がある。

関連記事
異常気象を招く 暴れるジェット気流」,J. マスターズ,日経サイエンス2015年3月号。

原題名

The Weather Amplifier(SCIENTIFIC AMERICAN March 2019)

サイト内の関連記事を読む

キーワードをGoogleで検索する

成層圏ロスビー波大気重力波ケルビン波ブロッキング高気圧導波路共振WKB近似北極温暖化増幅エアロゾル