日経サイエンス  2019年4月号

特集:分断の心理学

SNSが加速するタコツボ社会

石戸 諭(ノンフィクションライター) 協力:田中幹人(早稲田大学)

東日本大震災の直後,人々はSNSで発信する科学者の言葉に耳を傾けた。だがその後急速に,科学者の言葉は届かなくなった。

 

科学コミュニケーションや科学ジャーナリズムと社会の関係を研究している早稲田大学准教授の田中幹人と同大研究員の吉永大祐らは,このほど,原子力発電所の事故から3年間にツイッターに投稿された「福島」に関する発言を抽出し,誰の発言がどのように共有・拡散されたかを網羅的に解析した。そこから浮かび上がったのは,巨大災害の直後にはコミュニケーションの要となっていた科学者たちが急速に影響力を失い,科学を懐疑的,あるいは陰謀論的に見る人々に取って代わられていった過程である。わずか2年の間に,科学者たちの声は科学者とその周辺,そして一部の保守層にしか届かなくなった。東日本大震災から8年目を迎えた今,SNSという新たなメディアで福島がどのように語られてきたのか。そこに科学者らがどのようにかかわっていたのかを探った。

著者

石戸 諭(いしど・さとる)

記者・ノンフィクションライター。1984年生まれ。毎日新聞社,BuzzFeed Japanを経て独立。著書に『リスクと生きる,死者と生きる』。

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