日経サイエンス  2018年10月号

特集:科学書に見る知の源流

科学はいかに生まれたか

坂本邦暢(明治大学) 山本貴光(文筆家・ゲーム作家) デイヴィッド・ドイチュ(オックスフォード大学)

この世界の成り立ちを理解したい。人間は太古の昔からそんな欲求を抱いてきた。それは宗教を生み,占星術をもたらし,哲学を育んだ。その中から仮説の構築と観測による検証という科学の方法論が立ち現れた。近代科学への胎動は16世紀半ばから始まり,コペルニクス,ガリレオ,ケプラー,デカルト,ホイヘンス,ライプニッツらによって発展。17世紀にニュートンが構築した力学によって,その基礎が確立した。先人たちが知を積み上げ,影響し合いながら科学の体系を作り上げていった道程は,彼らが著した書物によって今に伝えられている。

 

そうした歴史的書物の世界有数のコレクションが,日本にある。金沢工業大学の「工学の曙文庫」だ。アリストテレスからハイゼンベルクまで,世界の科学をつくってきた2000冊余を収蔵する。この9月,その蔵書が東京で公開される。この機に代表的な書物を改めて繙き,科学がいかに生まれたか,3人の識者に聞いた。

 

ケプラー『世界の調和』 神からのメッセージを数学と統合

語り:坂本邦暢/聞き手:橋本麻里

デカルト『哲学原理』 宗教から独立,科学の方法論の先駆け

語り:山本貴光/聞き手:石戸諭

ニュートン『プリンキピア』,ダーウィン『種の起源』 今ある事実を見えざる過程で語る

語り:デイヴィッド・ドイチュ/聞き手:古田 彩

 

坂本邦暢(さかもと・くにのぶ)
1982年生まれ。明治大学文学部常勤講師。専門はルネサンス,初期近代の哲学・科学史。
橋本麻里(はしもと・まり)
日本美術を主な領域とするライター・エディター,公益財団法人永青文庫副館長。

山本貴光(やまもと・たかみつ)
慶應義塾大学環境情報学部卒業。ゲーム作家,文筆家。『「百学連環」を読む』(三省堂,2016年),『高校生のためのゲームで考える人工知能』(筑摩書房,2018年)など著訳書多数。
石戸諭(いしど・さとる)
記者,ノンフィクションライター。1984年生まれ。毎日新聞社,BuzzFeed Japanを経て独立。単著に『リスクと生きる,死者と生きる』(亜紀書房)。

デイヴィッド・ドイチュ(David Deutsch)
オックスフォード大学客員教授。量子コンピューター理論を提唱。著書『無限の始まり : ひとはなぜ限りない可能性をもつのか』(インターシフト)
古田 彩
日経サイエンス編集長。