日経サイエンス  2018年8月号

特集:AIの身体性

人工知能(AI)という言葉から誰もが思い浮かべるのは,人間の脳に相当するコンピューターだろう。だが人間は,コンピューターとは違って体を持っている。赤ん坊は自分の体を使って外の世界に触れ,そこから返ってくる反応によって学習する。ロボットという体を持つAIは,脳だけではできない学習ができるようだ。またタコなどある種の動物は,脳だけでなく体の組織そのものに計算機能が備わっていることもわかってきた。体や物体にもともと備わっている計算能力を利用する新しいコンピューターの研究が進んでいる。脳と体,さらに計算能力と物理系には,想像以上に深い関係がある。その解明は機械学習の性能向上にとどまらず,生物や物質についての新たな見方を開くかもしれない。

 
 
勝手に学ぶ子どもロボット  D. クォン
体で計算するコンピューター  古田 彩 協力:中嶋浩平