日経サイエンス  2018年1月号

特集:統合失調症に挑む

ゲノム解析でわかった複雑さ

M. バルター(ジャーナリスト)

大勢の人のゲノムを調べるゲノムワイド関連解析を通じて統合失調症の原因となる遺伝子変異を探り出そうとする研究が続いてきたが,これまでの成果は当初の期待に応えていない。関連の遺伝子は確かにいくつも見つかったが,いずれも影響は弱く,新治療法につながるような単一の原因遺伝子は存在しないことが明らかになった。ただ,子供時代のトラウマ体験など環境要因がそうした遺伝子の影響を強めて発症リスクを高めている可能性が示されている。今後はそうした一連の手がかりを総合的にとらえた研究が必要になるだろう。

著者

Michael Balter

フリーランスのジャーナリスト。Audubon誌や National Geographic誌,Science誌などに執筆している。

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統合失調症 治療薬開発の最前線」,D. C. ジャビット/J. T. コイル,日経サイエンス2004年4月号。

原題名

Schizophrenia’s Unyielding Mysteries(SCIENTIFIC AMERICAN May 2017)

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