日経サイエンス  2017年12月号

フロントランナー 挑む 第75回

命をつなげる生殖細胞の謎を解き明かす:斎藤通紀

詫摩雅子(科学ライター)

20〜30年前まで生殖細胞ができてくる道筋はよくわかっていなかった
分化の際に働き出す遺伝子はどれか,まわりの細胞が出す分化誘導因子は何か
培養皿の中で卵子・精子を作る試みは,それを解明するための研究だ

 

 

ヒトの体は約37兆個の細胞でできている。細胞はいずれも個人の死とともに死滅するが,ある意味で卵子や精子といった生殖細胞だけは例外だ。体を構成するすべての細胞は,父母の精子と卵子に由来する。その父母の体もそれぞれの両親の生殖細胞に由来する。父母,祖父母,曾祖父母とたどれば,38億年前の生命の誕生までさかのぼれる。京都大学の斎藤通紀は,そんな「命をつなげる」特別な存在である生殖細胞ができてくる仕組みを解き明かそうとしている。    (文中敬称略)
斎藤の快進撃が止まらない。10月5日,Cell Stem Cell誌に新たな論文が載った。ヒトのiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使って,卵子や精子への最初の一歩となる「始原生殖細胞」に変化する際に必要な遺伝子を突き止めたというものだ。

 

 

続きは発売中の日経サイエンス2017年12月号にて

斎藤通紀(さいとう・みちのり)
京都大学大学院医学研究科教授。1970年兵庫県尼崎市生まれ。京都大学医学部を1995年に卒業,同大大学院医学研究科で1999年に医学博士号を取得。英国ウェルカム・トラストがん研究所でのポスドク研究員,理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB,現・多細胞システム形成研究センター)哺乳類生殖細胞研究チームのチームリーダーを経て,2009年より現職。